DSMではうつ病には2つの主要症状が基本となる。
と、伝えています。
※DSM=Diagnostic and Statistical Mnual of Mental Disorder
アメリカ精神医学会による精神障害の診断と統計の手引き
①抑うつ気分(気分の落ち込み)
②興味関心、または喜びの消失、
このどちらかがあれば、鬱病として診断されます。
「抑うつ気分」とは、
気分の落ち込みや、何をしても晴れない嫌な気分や、
空虚感・悲しさなどである。
「興味・喜びの喪失」とは、
以前まで楽しめていたことにも楽しみを見いだせず、
感情が麻痺した状態である。
この2つの主要症状のいずれかが、うつ病を診
するために必須の症状であるとされている。
これら主要症状に加えて、「抑うつ気分」と
類似した症状として、
「自分には何の価値もないと感じる無価値感」、
「自殺念慮・希死念慮」、「パニック障害」などがある。
鬱病には、DSMでは、
9つの代表的な症状を挙げてます。
次の9つの症状のうち5つ以上が2週間以上に
わたって、存在すること。
または、先ほどの①抑うつ気分②興味関心または喜びの消失、
のどちらか一つがあることで、鬱病と判断できる。
①ほとんど一日中、ほとんど毎日の抑うつ気分(気分の落ち込みや空虚感)。
自身の言葉だけでなく、観察において示される場合もある。
注)幼少期や青年期ではイライラしている気分の状態もある
②ほとんど一日中、ほとんど毎日、ほとんどすべての行動に対して、
興味や関心の消失。
または喜びの著しい減退。自身の言葉だけでなく、
他社観察において示される場合もある。
③著しい体重の減少、または増加(一か月で体重の5%以上の変化)
また、ほとんど毎日の食欲減退、または過剰。
注)小児には期待される体重増加がみられないことも考慮
④ほとんど毎日の不眠、または睡眠過多
⑤ほとんど毎日の精神運動性の制止(=思考が働かない)
または焦燥(=なんでかわからないけどソワソワする)
(他社観察の方が正確で主観的感覚は判断材料になりにくい)
⑥ほとんど毎日の疲労感、または気力の減退
⑦ほとんど毎日の無価値観、または過剰、または不適切な罪責間。
(妄想的な場合もある)
⑧思考力・集中力の低下。または決断困難がほとんど毎日認められる。
⑨死についての反復思考。特別な計画はないが、
反復的な自殺念慮、または自殺企図。
(衝動的である)または自殺するためのはっきりとした計画。
⇒症状は著しい苦痛、または社会的、職業的、
またはその他の領域において、著しく機能の障害をおこしていること。
⇒症状は、薬物の乱用やいっぱんてきな身体疾患(甲状腺機能低下症など)
によるものではないこと。
鬱病のエピソード
①集中力や注意力の減退
②自己評価と自信の低下
③罪責感と無価値観
④将来に対する希望のない悲観的見方
⑤自傷あるいは自殺の観念や行為
⑥睡眠障害
⑦食欲不振
気分の落ち込みは日による変化がすくなく、
しばしば環境に対して無反応であるが、
日が経つにつれて日内変動を示すことがある。
思春期は非定型的な症状を示すことが普通である。
鬱病エピソードは、重症度に関わらず、
少なくとも2週間以上の持続が必要とされる。
重症のガイドライン
<軽症エピソード>
抑うつ気分、興味と喜びの喪失、または易疲労性の二つが
該当し、前項に記載された症状の2つが該当する。
いかなる症状も著しい程度であってはならない。
通常、症状に悩まされて日常の仕事や社会活動を続けるのに
いくらか困難を感じるが、完全に機能できなくなるまでの
ことはない。
<中症エピソード>
抑うつ気分、興味と喜びの喪失、または易疲労性の二つが
該当し、前項に記載された症状の3〜4つが該当する。
そのうちの一部は症状が著しい程度にまでなることもあるが、
全体的で広汎な症状が存在するならば中等症。
中等症の方は、通常社会的、職業的、あるいは家庭的活動を
続けていくのが困難になる。
<重症エピソード>
重症の方は、通常かなりの苦悩を示す。
自尊心の喪失や無価値観や罪責感を持ちやすく
、
特に重症な症例では、際立って自殺の危険性が大きい。
重症エピソードは身体症状が大きい。
抑うつ気分、興味と喜びの喪失、易疲労性のすべてに該当し、
前項に記載された症状の4つに該当し、更にそのうちいくつかは重症である。
しかし、精神運動抑制(精神運動制止)が顕著であれば、
症状を詳細に話してはくれないことが多い。
重症の方は、通常社会的、職業的、あるいは家庭的活動を
続けることはほとんどできない